R・I・S・K ~No.13~

ステラ☆ハート

2011年01月15日 14:47

 好美は、怪我をしている竜次を心配しつつ、次々と連中を倒していった。ナイフなど武器を持って襲いかかるやつらでも、好美は寸前のところでかわし、ノックアウトした。

 ――ホント、何て女だっ…!――

 洋次は、好美の強さに圧倒されていた。

 「危ないっ…!」

 洋次の後ろから、鉄パイプを持った少年が襲いかかろうとしていたので、それを見て忍がとっさに少年を殴打した。

 「何ボヤッとしてんだよっ!」

 忍は洋次を一喝しながら、襲ってくる連中を倒していった。

 「あの女、普通じゃないぞっ! 何て女だよっ…!」

 洋次が半ば呆れてそう言うと、忍はニヤッと笑った。

 「彼女は、誰よりも強いんだよっ…♪」

 そう言って忍が離れた後、洋次はまた、連中を倒しながら、何度も好美の方を見た。好美の強さは、半端じゃなかった。元々、好美は柔道や空手を習っていて、小学生時代から大会で優勝するなど、かなりの実力がある。だが、洋次は、好美は力が強いだけでなく、内側から込み上げてくる強さを持っていると、そう感じていた。

 ――俺は、今のままじゃ、この女には勝てない…――

 洋次は、力だけ強くなろうとしていた自分を恥じていた…。

 数時間後、竜次と洋次が多少反撃されたものの、たった5人で数百人いた連中を倒した。残るは、司だけとなった。
 司は、学ランを脱ぐと、好美の前に立ちはだかった。好美は、忍達に黙って見てるよう、目で合図した。

 「なあに? 女相手に、武器を使わないと勝てないのっ?」

 好美が挑発すると、司は、手に持っていた金属バットを放り投げた。

 「この俺と、タイマン勝負たぁ、いい度胸じゃねぇかっ…!」

 司の額の血管が、更に浮き上がってきていた。

 「冗談っ? アンタみたいな腰抜けと勝負するのに、度胸も何も必要ないと思うけど~…?」

 好美は、司の顔を見て、一笑した。

 「こ・の・ア・マ~ッ…!」

 司は、これ以上ないというくらい、怒りをあらわにし、殴りかかってきた。だが、好美は、何度も軽くかわしていった。

 ――すごいっ…。あの女、一切ムダな動きがないっ…――

 竜次は、好美の無駄のない身のこなしと、半端じゃない強さを目の当たりにし、驚愕した。

 「何、もうバテたの?」

 好美を見ると、全く疲れた様子をしていない。司は、一撃も出来ないまま、次第に体力が消耗してきていた。

 ――くそっ…! こうなったらっ…!――

 司は、ズボンのポケットに手を入れると、ナイフを取り出し、握りしめた。

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